アナタハシニマシタ
そして修は高校の校門に立っている。白い壁の四階建ての校舎。広いグラウンドでは早くも運動部が精力的に練習をしている。



警官の制服では生徒達を刺激させかねないので私服で行くことになった。そして胸のポケットには警察手帳。木村が作ってくれたらしい。



職員玄関から入って受付の女性に警察手帳を見せる。女性は失礼にならない程度の嫌悪の色を浮かべ、校長室まで案内してくれた。



公立校だけあり、校長室は他のより少しだけ豪華だった。応接間も兼ねてか、四人がけのソファーが二脚ある。



四人掛けのソファーの真ん中に腰を下ろして少し待っていると、初老の男性が入ってきた。白髪を後ろに流した清潔感漂う着こなし。恐らく校長だろう。



「遅くなりました。校長の岩田です。わざわざ来ていただいてすいません」



岩田はとても腰の低い校長の様だ。警察が来たら誰でもそうなのだろうか。



「遠野勇…刑事です。御協力感謝します」




「遠野さんはとてもお若いですね。高卒で刑事ですか?」



随分修の刑事には納得いっていないようだが今日は世間話が目的ではない。すぐに話題を切り替える。
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