邪魔してあげる
わたしがの愛しいひとはただひとり。

それは…一定期間「義理の兄」をしていた…押切 渡。

うちの家庭は世間からみたら複雑なもので、まず生まれた時にはもう父親がいなかった。
母一人子一人な日々だったけど、わたしが小学四年生のある日にママが再婚をした。相手も子連れのバツイチパパだった。
その子供が押切 渡なのだ。当時14歳。そんじょそこらのとは違う垢抜けた中学二年生だった。死別した母親はイギリス人と日本人のハーフだったらしく、その血を感じ取れる顔をしていて全体的に色素が薄かった。肌は思春期ニキビなんか関係ないツルリとしたもの。背丈は中学生にしては高め。かっこいいというより「綺麗」というのが第一印象だった。

わたしはそんな渡を初めてみたときに脳天を貫かれたような衝撃と心地よい心臓のざわめきがした。最初は初めての感情に混乱したが後にそれは「恋」だとわかる。だけど血が繋がってないとはいえ渡はわたしのお兄ちゃんなのだ。幼いながらに伝えられない想いをギリギリと圧し殺した。
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop