邪魔してあげる
まあ男兄弟なんて友達から聞いた話、ロクでもない。バカで下品で、妹を子分かなにかと勘違いしてるやつらなのだ。だからこいつもそうに違いないと、私はそのうち自分の熱がさめることを待った。
だが渡はそんじょそこらのクソガキとは違った。

プライベートでも洗練された上品さを常にもっていて、子供ながらに落ち着きがあった。有名私立中学に通いながらも成績は優秀なものをおさめて二年生にして生徒会長もしていた。だからといってがり勉くんではなく、部活動のテニス部でも毎回レギュラーメンバーとして大会に出場し、よくトロフィーを持ち帰ってきたくれた。そしてキラキラに眩しい笑顔で言うのだ。

「江利香!お兄ちゃんすごいだろう!」

トロフィーや賞状は全部わたしにくれた。わたしの部屋にいっぱいに積もっていくそれらにママは「今度から自分の部屋に飾りなさい」と呆れ怒っていた。

いつも優しくて何をするにも妹優先。とにかく私を可愛がってくれた渡。まるで王子様みたいな渡。

わたしはどんどん渡がスキになった。こうして妹でいいから渡とずっと一緒にいたかった。
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