邪魔してあげる
「あう、ティッシュ…!」

「大丈夫か美穂子!」

渡がポケットからティッシュをとりだして美穂子さんに渡した。その光景に胸がちくりとする。美穂子さんが本当に渡の彼女なんだと痛感する。

「えへへ。ごめんね、江利香ちゃーん。わたしいっつもこうで、渡くんには毎回面倒みてもらってるのー。」

「すこしはしっかりしろよ。美穂子。」

「ごめんなさいってばあ。」

だ!か!ら!こ!そ!渡をわたせない!わたしの苛々は限界ギリギリ。こんな冴えない女が王子様みたいな渡の彼女でいいはずがない!
王子様に似合うのは姫!このわたし!なんとしてでも別れさせてやろうじゃないのっ。

認めない!わたしは渡の彼女がこんなの地味女だなんてぜーったい認めないんだからねっ!
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