【短】リミットLove
「…はぁっ。」
外に出ると冬の寒さが身に染みる。
そっと手に息をかける。
…もう1月かぁ…。
家のすぐ前にある公園の木々は葉を落とし、寂しげにたたずんでいる。
昔、お父さんが生きていた頃、よく家族みんなで遊んだな…。
ふと、そんなことを思い出した。
「こーゆき!」
ポンと肩を叩いたのは、
「…龍平…。」
家が隣りだから、当たり前っていえば当たり前だけど、あたしと龍平は毎日一緒に登校している。
それはもう、幼稚園から今まで、ずーっと。
「…ん?
どうした?」
あたしはいつの間にか涙を流していた。
「…なんか
お父さん、思い出しちゃって…」
龍平は、昔からの付き合いだから、お父さんのことを知ってる。
そして、悲しみに満ちていたあの頃のあたしを救ったのは、龍平なんだ。
だから、あたしはこのことに関してはどうしても、龍平に甘えてしまうんだ。
龍平はあたしの頭をポンと撫でる。
『とーさんがいなくても、オレがいるでしょ?
りゅーへーが、こゆきのとーさんになってあげる。』
5歳の頃に言ってくれた、優しい言葉。
あたしはこの言葉に、何度救われたんだろう?