ファーストキスは蜜の味。
シャーペンをカチカチとしながら、あたしは疲れて床に寝転んだ。
問題が一個も進まない。
そもそも、あたしこんなに勉強できないでよく高校に入学できたよね。
――…ブルブルブルッ
マナーモードのままの携帯が鳴った。
長く鳴ってるから電話だ。
「もしもぉーし、詠葉でぇーす」
『一樹でぇーっす、ってなにやらすんじゃ!!』
「一樹ぃ?
――…どうしたの?」
あいかわらずノリよくておバカさん。
たぶんユウちゃんも一緒みたいで、ガヤガヤしている合間に声が聞こえてきた。