ファーストキスは蜜の味。
「詠葉?」
座ってる席よりちょっと遠くで声がした。
声に反応したのはあたしだけじゃなく、四人全員だった。
入ってきたばかりの声の主は、モデル顔負けのスタイルに着崩したラフな服装。
真っ黒のサングラスがよく似合う、長身の男――…
ポケットに手を突っ込んだまま、男は片手でサングラスをずらした。
ビクッ
体が勝手に反応した。
「き、…恭兄っ」
ひぃー、なんでここにいるのっ!?
あたし、勉強しなさいっていわれてるのに。