ファーストキスは蜜の味。

マフラーの低い音が振動でつたわって、ドキドキしてる心臓の音をかき消してくれる。


あたしは当然のように助手席に乗せられ、黒塗りセダンの車内でだんまり。

恭兄はサングラスを外して運転している。

まえに集中しながら、信号が赤になってとまった。




「――っっ!!」

ふいに伸ばされた手は、あたしの太ももあたりをゆっくりとなでる。

あったかい大きな手が、あたしの肌に触れるたび、体が跳ねあがった。



「オートマでよかった」

「えっ?」

「運転してても、こういうコトできるだろう?」

運転中に…
そんなコトを……っ!?

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