ファーストキスは蜜の味。
ちらっと横目でみると、恭兄はあたしが考えてるのを待ってる。
肘をついて少し眠そうに伏せられた睫毛。
胸ポケットにしまわれたサングラス。
服からのぞく腕。
浮かびあがった鎖骨。
やわらかそうな唇。
あの唇にいつも触れているのかと思うと、顔がしだいに赤く染まる。
「なに誘ってんの?」
「――っ、ちがっ、うひゃっ」
とじていた瞳が突然ひらき、恭兄の手があたしの脇をとおった。
引きよせるように手が添えられ、頬が胸にあたった。