ファーストキスは蜜の味。

事務所からは、嗚咽まじりの泣き声。

「…くっ、ひぅ」

悲しみに暮れる声は、泣き続けているようだ。


このせいで入れなかったの?


大地はそっとあたしの耳に口をよせた。


「たぶん徳さんだと思うんだけど…
……ずっとあの調子で泣いてるんだ」


うぅ…っ
耳に息があたってくすぐったい。




髪がくすぐったくてどけてもらおうとすると、大地がなにかに気づいたみたいに隙間をのぞいた。

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