ファーストキスは蜜の味。

「しっ」

また人差し指をたてて、静かに、のポーズ。



――…コツコツコツ



足音が近づいて、事務所の扉が開いた。


「まだ泣いてるの?」

冷たい声は、白石さんのものだった。

いつも笑顔の白石さんからは想像つかないくらい、冷たい声。


「だっ、だって…ぅっ」


やっぱり徳さんだ。

キレイでちょっとオヤジな徳さんが泣いてる?

あたしは身を乗りだして聞き耳をたてた。

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