ファーストキスは蜜の味。
「いい加減にしなよ。
野久保だっているんだしさ、ヘンに思われるよ」
「ん…っ
わか、ってる」
涙を必死で抑えてるのか、徳さんは何度か深く呼吸をした。
口からは、ごめんね、と何度も言葉にしている。
「べつに紗枝が悪いわけじゃないって。
おれが勝手に迎えにいっただけなんだからさ」
紗枝?
――…あっ、徳さんの名前か。
二人ってこんな関係だったっけ、と頭の隅で疑問に思った。
ふと上をみあげると、大地も興味津々に聞き耳をたててる。