ファーストキスは蜜の味。

大地が突然、ため息を吐いた。

「オレ今日さ、詠葉とこのまま話せなくなったらどうしよう!?とかめっちゃ悩んでたんだ。
だからいまの言葉、スッゲェ安心した」

にかっと笑った大地は腕を伸ばした。


恭兄とは違った、健康的に焼けた腕。

大地ってよく外で遊んでるから、この時期でもすぐ焼けちゃうんだね。



返事、いわなきゃ。

あたしはいまがチャンスと思って、大地に向きあった。

「あ、あのね」

大地は優しい笑顔でふり返った。

「あたしね、大地のことスキ。
――…でもそれ以上にスキな人がいて、その人には彼女がいるの」


あたしって本当ワガママかも。

スキなのに、他にスキな人がいるって……

でもこれがいまのあたしの正直な言葉。

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