ファーストキスは蜜の味。
「ははーん?
おまえ恭一のことスキなんだ?」
「んなっ!?
――…なんでよ!?」
陽クンは話しながら前髪も切ってくれた。
だいぶ伸びてるから、ちょっと短めかな?
「恭一スキになるとは…
……おまえ、苦労するぞ?」
「うぅっ、やっぱり」
陽クンは切った髪を軽くはらった。
そういえば、と小さく声にすると、陽クンは道具を片づけながら口にする。
「このまえ恭一に聞いたけど、アイツ忘れられない恋ってのをしてるらしいよ。
それを忘れたいために、女遊びが激しいのかもな」
忘れられない人?
いまの彼女は、遊びだっていうの?
だとしたら…
――…あたしに勝ち目なんてナイじゃん……