ファーストキスは蜜の味。
悩んでることって、恭兄のことなんだもん。
本人をまえにしていえないから、悩んでるのにさ。
あたしはなにもいいだせず、だんまり。
その態度が気に入らなかったのか、恭兄は視線をあわせてくれない。
「あ、あのさ……」
思いきって口にしたあたしは、床に置いてあったチケットをみえないように手にした。
ユウちゃんからいただいた、大事な水族館のチケット。
「水族館って……スキ?」
控えめに、それでいて少し上目遣い。
あたしがよく陽クンに使う、おねだりポーズだ。
目線をあわさない恭兄には意味ないけど。
「水族館?」
怪訝そうな声と、眉をよせた顔が怖い……