ファーストキスは蜜の味。
恭兄は頬を触りながら、ときたまつねる。
「おまえのほっぺた、やわらけぇ」
そりゃそうでしょうとも。
平均よりもプニップニッッ、だからね!!
信号が青になって発進する車。
触れてた手は、あっさりと離された。
それが寂しいのは、あたしだけ――…
あっというまについた、恭兄の家。
あれ?
――…あたしの家のまえでおろしてくれればイイのに、車庫まで入る車。
自動でおりるシャッターのせいで、しだいにあたりが暗くなる。
ガシャンッ、て音をたててしまったシャッター。
光りを失った車庫は、真っ暗でなにもみえなくなった。