ファーストキスは蜜の味。

「恭兄、暗いよ」

不機嫌になりながらも反抗する。


恭兄が隣にいる、ってことはわかるのに、顔がみえないせいで不安になる。

返事のないことが、さらに不安にさせる。


急に水族館にきて、優しくして。

違和感のある、恭兄の態度――…



「……彼女とまた喧嘩でもしたの?」

あたしは口にしてから、しまった、と思う。

すでに遅い。



「あぁ」

低い声が、暗闇に響いた。

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