ファーストキスは蜜の味。
――…
夢のなかで、恭兄が笑ってた。
優しい手つきで、優しい声で、あたしをみた。
おまえはバカだなぁ、なんていいながら、頬をつねってた。
夢だってわかったのは……
――…こんな優しい恭兄をみたことがなかったから。
あたしの願望なのかな?
だとしたら都合のイイ夢。
髪をなでる指が、あたしの唇まですべる。
なんだか幸せな気持ちでいっぱいになり、頬をゆるませた。
恭兄のこと、諦めなきゃいけないね。
キュンッてなるのは、しばらく我慢しなきゃ。