ファーストキスは蜜の味。

誰か、なんていわなきゃわかんないし、眼鏡オフモードの恭兄を知らないみんなに想像できるわけがない。


ってことは、ここでも、あたししか知らない恭兄の顔があるってことで――…


「この子、彼氏のこと思いだしてニヤけてるよ」

「あーもー、さっさとデートにいけ!!」

さっさと追い払うように二人は手であおぐ。


ふふん。
――…デート?

そんなカワイイもんじゃないんだよ?


「残念でした、あたしは今日から補習なんだよね」

じゃあね、っていいながら手をふると、二人はきょとんと顔をみあわせた。



「補習なのに、なんであんなテンション高いの?」

「……さぁ……?」


そう思うと自然と頬がゆるんだ。

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