ファーストキスは蜜の味。

恭兄はあたしのうしろにまわって、プリントをのぞきこんだ。

黒いフチの眼鏡を、ずれないように何度もかけなおしながら。



「おまえが苦手なとこは文章読解力だからな。
――…今日はそれを中心にやるぞ」

「え、でも他の人の苦手なとこは?」

「それは明日から」



たったそれだけのことなのに、あたしが一番に優先されてる感じが、とっても嬉しかった。




たとえそれが補習授業だとしても、だ。

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