オトコノコの気持ち!














(……道、合ってる?)



内心おどおどしながら、たらたら歩く。


……多分、遅刻だ。


にしても今日は気持ちいい天気で、ポカポカしてる。

コハルビヨリってやつ?



(こりゃ授業寝ちゃうわ)



風があたしの髪を揺らすたび、いつもと違うシャンプーの香りがふわっと舞った。

それは、多分那都のだったけど置いてあったから勝手に使った。



奴は見かけによらず

(まぁフローラル系使うようにも見えないけど)

ワイルドさもフェロモンも感じさせない、林檎っぽい爽やかなシトラスの香りのシャンプーを使ってるらしい。美容院で取り合ってるような。


……ぱっと見は爽やか寄りなのに、あの表情とか無駄なフェロモンとかがそれをことごとく潰しているように思う。

むしろ粉砕していると思う。










「あ、梓だ」





(………この声は……)


ほわほわポカポカしてた気分はどこへやら、声のした方を振り返ると、「春」が一番似合わなさそうな男がいた。

太陽の下、白くて細い肌と銀の頭はキラキラして見える。



(なんっかエロいんだよなぁ……)



中性的。「雪の王子様」。


< 103 / 152 >

この作品をシェア

pagetop