オトコノコの気持ち!
「偽王子」
「なにそれ」
と、安藤は綺麗な眉を寄せた。
「梓、なんでうちの制服着てるの?」
「呼び捨てにすんな!次からは「東堂さん」って呼ばなきゃ聞かないかんな」
あ、そっか。
昨日会ったときはまだ私服だったんだもんな。
(にしても近い。顔)
色白で、毛穴の見当たらない顔を押し返そうとした時、
落ち着く香りがしたと思ったら―――
ふわっ
……安藤があたしの頭に鼻でキスをした。
くんくん、と犬みたいににおいを嗅いでいる。
「………これ…」
「は、離れろバカッッ!!」
耳まで暑くなったあたしは、後ろに飛びのいた。
「…………」
「な、ななに」
くっ、と言葉を呑んで恥ずかしさに涙目になるあたしとは正反対に、顔色一つ変えないニセ王子。
とか心の中で一人言をぶちかましてると、安藤の見透かすような目と、あたしの目が
バチッと合った。