オトコノコの気持ち!


「……なんだよ」


「もしかして…、那都のストーカーしてる?」


「…………」



なんか、もうコイツ突拍子もないことばっか言いやがるから、慣れそう。


だけど今の発言にはスルーできないくらい失礼な誤解が混じっていて、あたしは何て返すか言葉を詰まらせた。

あたし相手に言葉を詰まらせるなんて、なんなのコイツは。



(ただ者じゃないな)



掴めない。不思議ちゃんなの?にしてはヤケに妖美だしな。

それにまだヤな奴とは限らないから、ヘタに無礼な態度はできない。(それに関してはもう手遅れかもしれない)



「てか、お前遅刻じゃん。歩いてていいわけ?」



ミテクレからしてコイツが「遅刻」なんて気にするようには更々見えないけど。どうみてもマイペースそうだしな。


(『ミテクレ』なんて言って、千都瀬に軽蔑されちゃうわ)


早歩きなのはあたしだけ、コイツは数歩後ろを品のいい猫みたいにしなやかに歩いてる。

ヘタなこと言ったなと思ったがときすでに遅し。



「ヘタくそ」


「(話題そらしたのバレたか…)」



くっ、と俯きがちに綺麗に笑う。見とれちゃって悔しい。

でも次の瞬間、安藤の表情は一変した。



「生意気だな」



ガッ



「ぅ、おっ!?」


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