オトコノコの気持ち!



「もっと可愛い声で鳴けないの」




(なんっっって男だ!!!)



奴はあたしの、真新しいローファーの踏んだ踵と足の隙間につま先を素早くしなやかに、それこそ猫のように滑り込ませて踏み付けた。

気配もないうちに右足だけそうなり、早歩きだったあたしは急につっかえてバランスを崩したのだ。



「あっ……ぶねぇだろオカマ野郎!!!」



ハッ





(めんどくさいこと言っちゃったん……)



ふざけてられるのも内心だけ。

基本短気で、売り言葉に買い言葉精神のあたしと一番相性が悪いのが「俺様」タイプ。

三雲先輩みたいに大人な俺様ならまだしも、コイツみたいなお子様タイプの俺様はやっかいだ。



(なるべく関わらないようにしよう)



コイツの俺様精神に今ので油をそそいじゃったっぽいから(雰囲気的に)、あたしはそう心に決めた。


何回も言うようだけど、あたしだってそんな馬鹿じゃない。


(いや、一回目かも?)


売られた喧嘩は買うなんて、結果論だ。別に買いたくてそうしてるわけじゃないし。

気づくと口が勝手に開いてんの。で、ヒートアップして収集つかなくなって……。


(結果、喧嘩?υ)


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