オトコノコの気持ち!


鏡の中のあたしは知ってる。

強気にかいた眉も、大きく魅せた瞳も、色味を薄めた唇も

変わってくあたしは知ってる。
全部ニセモノだってこと
ほんとはいつも
情けない自分だってこと



パタン



あたしは鏡を閉じた。
ポーチの中に今日のメイクで使った化粧品と女優ミラーを入れて、ジッパーを閉める。

手慣れたはずの毎朝の情事。



カチャカチャ

ジャッ



あの高校は、本命じゃなかった。すべりどめ。

あたしの今通ってる高校は本命に狙ってたところ。ユカだってそうだ。

なのに未だにあの日を夢に見るのは、きっと悔しかったから。

努力したのにユカに負けたことも、すべりどめなのにはしゃぐユカも、実力に対して不相応なプライドを持った自分も。

全部が悔しかったからだ。





あたしはボックスを片付けて、パジャマを脱ぐ。


< 4 / 152 >

この作品をシェア

pagetop