オトコノコの気持ち!
鏡の中のあたしは知ってる。
強気にかいた眉も、大きく魅せた瞳も、色味を薄めた唇も
変わってくあたしは知ってる。
全部ニセモノだってこと
ほんとはいつも
情けない自分だってこと
パタン
あたしは鏡を閉じた。
ポーチの中に今日のメイクで使った化粧品と女優ミラーを入れて、ジッパーを閉める。
手慣れたはずの毎朝の情事。
カチャカチャ
ジャッ
あの高校は、本命じゃなかった。すべりどめ。
あたしの今通ってる高校は本命に狙ってたところ。ユカだってそうだ。
なのに未だにあの日を夢に見るのは、きっと悔しかったから。
努力したのにユカに負けたことも、すべりどめなのにはしゃぐユカも、実力に対して不相応なプライドを持った自分も。
全部が悔しかったからだ。
あたしはボックスを片付けて、パジャマを脱ぐ。