オトコノコの気持ち!
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コンコン



「失礼します」
「失礼します……」



宮本にならって中に入ると、ちょうどチャイムが鳴った。



(ばか広い校内をほとんど案内してもらってたんだから、そりゃそうか……)



途中、理科室とか体育館とかを案内してもらったときに、突き刺さった周りからの視線が抜けない。


その視線のほとんどが、多分この髪色と身長にだった。

舐めるように上下に動く、教師も含め、生徒達からたくさんの自分に向けられた視線が気持ち悪かった。




「副校長」



宮本が落ち着いた声で呼ぶと、デスクで何か忙しそうに作業をしていた男が顔を上げた。



(うちの高校のお偉いさんもこんくらい仕事してなきゃだめだよな……)



と、副校長と呼ばれた男が、パッと見にせよまだ40前半くらいで若いことに驚いた。




「こちら、今日編入してきた
 ……えっと」


「あ、東堂 梓です」



ばりばり本名でほんとに平気なのかと不安だけど、ここはカーネル校長を信じるしかない。



「よろしくお願いします」



ペコッと軽く頭を下げると、厳格そうな副校長は渋い声で一言『よろしく』と返してくれた。


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