オトコノコの気持ち!



「俺ら……その……」

「ごめんな、東堂」



さっきは三雲先輩を呼んだくせに、謝られたのはあたし。

都合よすぎじゃないか。

あたしの立場が強くなったからって、態度をコロッと変えるなんて。




あたしはそんな態度が大嫌いで許せそうになかったから、三雲先輩を見た。


三雲先輩はあたしじゃなくて、まっすぐ奴らを見てた。




……だからあたしも見習って
まっすぐ奴らを見たら…、



奴らも、まっすぐ
あたしを見てた。

そこにいる5人は誰も
三雲先輩を見ていなかった。



あたしはそんな奴らに、少しでも下心を感じたことが急に恥ずかしくなって、許しを言った。




「……いいよ」





小学生の喧嘩の仲直りみたいに不器用になったけど。

その言葉を聞いて、目に見えてわかるくらい5人の顔から緊張が解けたのがなんだか可笑しくて、勝手に顔が綻んだ。




「はい、仲直りだな!」



明るく三雲先輩が言うと、みんな照れたように笑って手を差し出してきてくれたけど。


………どう頑張っても、5本の腕に対してあたしは2本だ。





戸惑うあたしを見て、みんな笑った。



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