オトコノコの気持ち!
「……あんた」
上手く定まらない視点をソイツに合わせる。
確か、ペアの―――――
(なんだっけ)
「…デカ男」
「…………」
ボソッと呟くくらいの声量で言ったんだけど、奴の耳にはしっかりそれが入ったらしく。
束感がある前髪の隙間から、狼みたいな目が冷ややかにあたしを見下ろしていた。
眼を細めるでもなく、眉を寄せるでもなく、ただただ冷たい色で視線を投げられているだけなのに、ひどい威圧感だ。
(きも)
何の反応もないのが一番困るとわかってほしい。
「つーか朝からなんなんだよ、お前。昨日の続きしたいの?」
けなすようにそう投げ掛けても反論がない。
あたしは上半身だけ起こして、ふわぁ、とでっかい欠伸をかましてみせた。
………なんと
ここまでしてやったのに返ってきたのはため息一つ。
そして鞄を投げ付けられた(多分本気で)。
それらは全部無言で行われて、痛いと講義しようとしたら
バタンとドアを閉められた。
これで、部屋にいるのはあたしだけになった。
(初日からひでーな)