青い空、誓った想い
「ヴァイオリン一筋だったから、恋愛はしないと決めていたんです」

そう答えた。



「そうか。過去形ってことは、今はそうじゃないのか?」



先生は私を見つめて、しっかり私の言葉の真意を確認してきた。



「そうですね。今は自分の気持ちに正直でいようと思っているんです。自然に人を好きになる気持ちは拒まないで受け入れようって。」



先生の視線は再び窓の外へ向けられ

「そうか」

とだけ言った。



すごく寂しそうな目をして。






ねぇ、先生?


先生のその寂しそうな目の先にあるものは何ですか?


先生は一体、何を抱え込んでいるんですか?




先生の心は、私には見えなかった。
< 111 / 190 >

この作品をシェア

pagetop