青い空、誓った想い
「失礼します」

ノックの返事がなくて、そっと数学研究室の扉を開けてみた。



誰もいない?



「あれ、工藤いないのかよ」

後ろから声がして振り向くと吉野くんがいた。


「プリント、集めんの頼まれたんだけど。俺、日直だから」


「そうなんだ」


「とりあえず、中に入って待ってるか。てかお前、なんで呼ばれたの?」


「あ、私はちょっと補習で。この前のテスト、成績悪くて」


「はは、そんなに成績悪かったんだ」


「笑わなくてもいいでしょ。吉野くんだって数学できないくせに」


「補習受けてるやつに言われるほどじゃねぇって」



確かに、私が言えることじゃないか。



「なぁ、井上…」


「なーにー?」

吉野くんの方に視線を向けた。
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