青い空、誓った想い
どこからか声が聞こえた。


でも人が多すぎて、声の主が見つからない。






次の瞬間、ギュッと手をつかまれた。



「井上だろう?」


もう一度、私のことを確認する声が後ろから聞こえた。








振り向いた先にいたのは、




「工藤先生…」



久しぶりの先生の姿に心拍数が上がるのを感じる。


夏休み前より少し髪が伸びていて、相変わらずかっこ良かった。




「井上、1人なのか?」


「いえ、友達とはぐれてしまったんです」



そう言った時、すごい人の波が押し寄せてきた。



先生に手をつかまれたままの私は、ふわっと先生の腕の中に引き寄せられた。



「先生…」


という私の声は先生には届かない。



そのまま私と先生は、人波に呑み込まれた。
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