青い空、誓った想い
何かを勘違いしたままの吉野くんは続けて話しだした。



「もしかして、前に俺が部活で怪我した時のこと覚えてる?あの時はありがとな」



話が見えず、少し考えていると


「俺、あの頃さ、サッカーが上手くいかなくて落ち込んでたんだ。それでぼんやり走ってたら怪我までして。コーチにも怒られて。」



私も同じような体験をヴァイオリンでしたことはあるから、なんとなく気持ちが分かった。



「そんな時、怪我の手当てをしながら井上さんが言った一言で、俺は救われた」



保健委員の私は、たまたま保健室の先生がいない時にやってきた生徒に、怪我の手当てをすることがあった。

しかし、吉野くんに何を言ったかは覚えていない。
< 17 / 190 >

この作品をシェア

pagetop