青い空、誓った想い
最後まで言う前にチャイムに邪魔をされる。

朝のホームルームの予鈴だ。



「もうこんな時間か。一旦、職員室に行かないとな。井上、今日はありがとう。また今度聴かせて?」



「え、は…はい」

先生が急にそう言うから焦って思わず了承してしまう。



「時間がギリギリになって悪かったな。井上も遅刻しないように急げよ。じゃあ、また授業で」


そう言って、先生は少し笑顔を見せて手をあげながら、音楽室から出ていった。



私は意識はぼんやりとしていたが、ちゃんとヴァイオリンを片付けていて、気付くと教室の前にいた。




先生のことは気にしないと決めていたのに。

関わらないようにしていたのに。



気が付けば、どんどん入り込んでいた。


また動き出してしまった正体不明のこの想いは、今度は制御不能。

多分、もう手遅れ。




でも、この想いの正体が恋心であることだけは絶対にありえない。


だって、恋はしないって決めているから。
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