青い空、誓った想い
「あ…」


「井上」


私は湿布を持っていた手を慌てて身体の後ろに隠す。



「お前、ケガしてるんだろう?」

と言って私の右肩に触れた。


ドキッとした。


「あの、工藤先生…なんでここに?」


「応援席からいなくなったから。騎馬戦の時、見ていたんだ。やっぱりケガしてたんだろう?」



何も言えずに黙っていると、先生は私が隠した湿布を取った。


「湿布、貼ってやるよ」


先生が私の右手を取り、体操服の袖を捲る。



肩の痛みよりも、胸のドキドキが気になった。


聞こえてしまいそうなくらいうるさい心臓。



現れた私の右肩を見て

「どの辺?」

と聞く先生。



私はそれどころじゃなくて、上手く声が出せず、左手で場所を示した。


「ここか?」

と言って湿布を貼ってくれた。
< 94 / 190 >

この作品をシェア

pagetop