おバカ彼女&天才彼氏
「富沢先生、ちょっとよろしいですか?」
「栗原か。何か用か?」
何だか緊張する…。
ただ、五十嵐君の家を聞くだけなのに。
「あ、あのっ。五十嵐君の家を教えてもらえませんか?この五十嵐君の持ち物を届けたいので」
「ん~。それは、個人情報だからなぁ。明日渡せばいいだろ?」
「これ、今日必要かもしれないんです。家でずっと探してるかもしれないし…。だから、お願いします」
何で私が五十嵐君のために頼んでるんだろ…。
何か、私、変だ…。
「仕方ねぇなぁ。いつもやる気のないお前がここまで言うんだ。ちょっと、そこで待ってろ」
「あ、はい」
『待ってろ』って…。
どれくらい待たせる気なんだろう…。
出来るだけ急いでほしいなぁ。
3分後―――
「おぉ、お待たせ。これが五十嵐の家までの地図だ。とりあえず行き方も書いたが…。分かるよな、栗原?」
「これくらい分かりますよ。じゃ、ありがとうごさいました」
「気を付けて行けよ。夜なんだから、変なことに巻き込まれないようにしろよ」
「分かってますよ」
私は、すたすたと歩き、学校を出た。
地図によると、ここを右に曲がって…。
で、ずっと真っ直ぐ行って、曲がる。
けっこう遠いなぁ。