おバカ彼女&天才彼氏

「富沢先生、ちょっとよろしいですか?」

「栗原か。何か用か?」


何だか緊張する…。

ただ、五十嵐君の家を聞くだけなのに。


「あ、あのっ。五十嵐君の家を教えてもらえませんか?この五十嵐君の持ち物を届けたいので」

「ん~。それは、個人情報だからなぁ。明日渡せばいいだろ?」

「これ、今日必要かもしれないんです。家でずっと探してるかもしれないし…。だから、お願いします」


何で私が五十嵐君のために頼んでるんだろ…。


何か、私、変だ…。


「仕方ねぇなぁ。いつもやる気のないお前がここまで言うんだ。ちょっと、そこで待ってろ」

「あ、はい」


『待ってろ』って…。

どれくらい待たせる気なんだろう…。

出来るだけ急いでほしいなぁ。




3分後―――


「おぉ、お待たせ。これが五十嵐の家までの地図だ。とりあえず行き方も書いたが…。分かるよな、栗原?」

「これくらい分かりますよ。じゃ、ありがとうごさいました」

「気を付けて行けよ。夜なんだから、変なことに巻き込まれないようにしろよ」

「分かってますよ」


私は、すたすたと歩き、学校を出た。



地図によると、ここを右に曲がって…。

で、ずっと真っ直ぐ行って、曲がる。

けっこう遠いなぁ。

< 17 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop