春夏秋冬


あたしは会釈をして逃げようとする。


だが、行く手を阻む男。


「楽になれるよ?」


つくり笑顔を向けてくる。


体は震えているのに、足が硬直していて
動かない。


助けて・・・春哉。


1番に浮かぶのはやっぱり春哉だった。


「離してください!」


あたしは、手を振り回す。


どう考えても男の力に勝てるワケがない。


「離してほしい?」


あたしは頷く。


「やーだねっ」


うざこいつ。


男はポケットに手を入れた。


そして、取り出したのは注射針。


ニヤッて笑う男。

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