春夏秋冬


あたしが前へ出ると、そこには
見覚えのある、神父さん。


・・・・ん?
頭オレンジって事は砂之。


「砂之がなんでっ!?」


そしたら砂之がジェスチャーで静かにと
言った。


「えー、田沼春哉さん。
あなたは、妻を紫奈さんとし、一生愛して
行く事を誓いますか。」


「誓います」


迷いのないまっすぐな目。


「神山 紫奈さん。
あなたは、夫を春哉さんとし、一生愛して
いくことを誓いますか。」


「誓います」


「では、指は交換を」


春哉はあたしの左手を取ると、薬指に
そっと、きれいな指輪を通す。


・・・・嬉しい。


「では、誓いのキスを」


重なり合う、2人の視線。


近づいてくる、春哉の整った顔。


そして、そっとあたしの唇に重ねる。

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