春夏秋冬
泣いている時も、携帯は鳴り続けた。
あ
たしは出なかった。
正確には、出れなかった。
この電話に出たら、
また、春哉がけなされるんじゃないかって…。
自分が、ちっぽけで。
だから、春哉が傷つくんだ…って。
あたしは結論と疑問をそう、結びつける。
辛いとき、本当に苦しいとき、
辛いと言えたらどれだけ楽か。
あたしは、強がって笑う弱虫だ。
寂しいのに、平気なフリをして笑うのは
崩れ落ちてしまいそうな、自分を守るためだから。
『大事な人』
がやっと出来たのに。
失いたくないから、守るのに。
あたしは、守るために失った。
春哉を遠ざけたかった。
遠ざければ、春哉はけなされなくて済むんだから。
あたしが、我慢すればいいんだから。
そしてあたしは眠りについた。