春夏秋冬
「さわんじゃねーよ、イキがり」
こうやって、愛想悪くすれば人も寄ってこないと思っていた。
でも、こいつだけはちがった。
「イキがりって…」
男は笑った。
何の偽りもなくて、澄んだ目してて。
あぁ、こいつは今が好きなんだな…。
「俺は、田沼春哉。夏蝶の総長だよ」
なに、こいつのノリは。
明らかに温度差。
あたしは去ろうとするが、手を掴まれたままだ。
「…手」
あたしは小さく呟くと離してくれた。
あたしは足を前へ出す。
「また、逃げるんだ?」
男はそう言った。
あたしはまた足を前へと進める。
だから、なんだよ。
今まで、孤独だった。
むしろ好んでいた。