春夏秋冬


「あ、やっと起きた」


春哉があたしを見つけて言う。


愛しい人の、声。


匂い。


温もり。


全てを感じていたい。


「・・・はるやー!」


気がついたら、あたしは春哉の胸の中。


なぜか、わからないけど


春哉を見たら、泣きたくなった。


きっと、安心の涙なんだな。


無我夢中で泣いた。


暖かい胸が、あたしの涙を増やした。


スキで、スキでたまらなかった。


ダイスキな人が傍にいて、


ダイスキな人が愛してくれて、


あたしは、幸せ者だ。


前みたいに、心を閉ざしていた頃が


馬鹿馬鹿しく思える。


こんなに楽しい毎日があるって知ってたら


あたしは、心なんて閉ざさなかったよ。



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