大切な君へ


―――――・・

ガラガラッ

まゆみ 「すいませんっ 遅れましたっ!」

先生  「ったく。 入学初日から何やってるんだ。
     早く座りなさい!」

あたし 「はい・・・」

席に座ろうとするあたしに
強い視線を感じたんだ。

ふと見てみた先には
見覚えのある顔。

二重まぶたで
少し下唇が厚くて
白くて綺麗な肌に
高い鼻

その整った顔を見て
12年前の記憶がふと頭をよぎったんだ・・。


でも、
ありえないと思った。


小声で

「はい。 ありえなーい」

そう自分に言った。

その時の私は、その人が誰だかわかってたんだ。
再び再会してしまったという
事実を受け止めたくなかったから。

嬉しいはずなのに
なんだか嬉しくない。

はっきりしない自分にムカついた。

よく恋愛系のドラマで見る

「自分で自分が分からない」

綺麗ごとに聞こえていたこの言葉。


今頃意味に気付いた――――・・。
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