ティードリオス ~わが君にこの愛を~
 騎士団の寮の部屋で、家具は殆ど備え付けだ。持ち込んだものと言えば、パソコンぐらいか。

 少々狭いが、テーブルに四人を座らせ、適当に冷蔵庫に入っていたジュースを並べる。

「……で、何が訊きたいわけ?」
 ぶっきらぼうに言うと、金髪の男――ミーディスが、
「もちろん、ラインハルトだよ! 乗ったんだろ?」
「ええ。散々絞られたわよ。後から」
 だから帰れなかったんだと、呟く。

 ここまでは、公的記録に残っている。二度目のラインハルト搭乗以降は、機密だが。

「言っとくけど、ラインハルト内部のことやスペックは、言えないわよ」
 がっかりしたようにミーディスが項垂れた――かと思えば、女友達――夜月とコレックが、楽しそうに、
「それより、ティードリオス殿下に直接お会いしたんでしょ?」
「お若いし、ハンサムだし、かっこいいし~。恋人いないし。ちょっと、詳しく話してよ~」

 黙って、嘆息する。
「あんたら、もっと真面目に……」

「仕事は仕事、オフはオフ」
「ね? どんな方だった?」
 また嘆息し、
「……良い方よ。それだけ。
 もう帰んなさい。私寝るから」

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