ティードリオス ~わが君にこの愛を~

「オー・ディセイ・ラインハルト!」
 ティードリオスの声に反応して、光が浮かぶ。

 すぐさま、発進させる。格納庫の壁はぶち破った。

 後に続く、コーレック三機デューレック四機。これが、今のティードリオスの力全てだ。無人となったコーレック二機が残る。

「兄上にあんな度胸があるとは……迷彩モード! 陣形D三でポイントQ七へ!
 今は生き残ることを考えろ!」

『イレ・ルーヴュ・テオ!』
 七つの声と同時に、辺りにいたレック七機が空に消える。青と水色に輝いていたラインハルトも、掻き消えた。その直後、幾条もの光線が辺りを凪ぐ。

「……ちっ!」
 コックピットの中で、ティードリオスは舌打ちする。今ので、コーレック二機が被弾した。一機は迷彩から通常に戻る。

「おい! 何を……!」
『イレ・ルーヴュ・テオ。……御武運を』

 慌てて回線を繋ぐが、その一言が最後だった。迷彩が維持できなくなったコーレックが、逆方向に向かい、停止する。

「…………!
 ……行くぞ!」
 六機が去った直後、コーレックは敵レック機と相打った。




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