ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「これで九人目の聖騎士か……おめでとう」
 言われ、洸流は微笑んだ。
「自分の力ではありません。……全て殿下の」

「そんなに、距離を置かないでくれ」
 一瞬、戸惑ったが、
「はい。ティオ殿下」

 もう一度、笑顔を浮べる。

「第九期は、メディアの報道規制は上手く行ったが、噂は流れた」

 歩き出しながらティードリオスが言った言葉に、洸流は頷く。事実、第九期に関して流れたのは、作戦決行時の映像と、事実無根な憶測だけである。巷では無人機との説が強い。

「早急に、完成させなければならない」
「分かっています。ルーヴュ・テオ」
 第九期の研究所は、城の地下に移されていた。ティードリオスに続いて、マントを翻して歩く。

「我が忠誠は、全て殿下に」



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