ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「…………」
ただ、キーを叩く音だけが響く。
身体的には異常はない。いつ目を覚ましてもおかしくないそうだ。――逆に言えば、いつまでも目覚めないことも、ある。
自分のミスだ。
彼は、そう確信していた。やはり、他人を――彼女を乗せるべきではなかった。
略式の王族の衣装を身に纏い、修正データ案をまとめていた。王城の、病室。側では、彼女が無言で横たわっている。
別に、ここでする必要もなかったのだが、ここにいてはいけないということでもなかった。なら、彼女の側にいたかった。
ふと、彼女に目をやる。――自分が、引き起こした結果だ。
彼女の枕元には、彼女宛に届いた手紙が溜まっている。差出人の名前はないが、筆跡からして、一人、熱心に手紙を送り続けている者がいるようだ。家族はいないと聞いたが……友人か。
胸のロケットを開いた。中には、悠然と微笑む、黒髪の女性。年は、洸流と同じほどか。
何かを問うように、写真を見つめる。そうするうちに、