ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「まったく……昨夜は何時間寝たんだ?」
「……この二日で四時間……」
「昨夜を訊いているんだ」
「……三〇分です」
ぼんやりとした彼女を仮眠室に引っ張っていき、彼はベッドの脇に座った。
「体調管理はしろ。……今は休め」
「……はい。申し訳ありません」
軍服のジャケットを脱いだ状態で横になった彼女を見つめ、嘆息する。ややあって、
「……寝ろ」
十分後、疲れたような声で言った。まだ眠っていない。
「……すみません」
答え、そのまま目を閉じる洸流。
しかし、昨夜三〇分というのもあんまりだが、その前が三時間三〇分というのも問題だ。慢性的なものだろうか? 以前に医療記録を調べたときは、何もなかったが……。
と、目を閉じた彼女の表情が何度か動く。すぐに気づいた。音だ。
外から何らかの音が聞こえる度に、顔を歪めている。
加えて、空調は利いているのだが、うっすらと、汗。
頬に触れると、冷たかった。首筋も、額も。
「……洸流?」
「……はい」
まだ眠っていなかった。彼は、迷わず医者を呼んだ。
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