ティードリオス ~わが君にこの愛を~
 ――どうして、こんなことを?

 オーヴェルユの司令室で、彼は、葉零島のあった場所の映像と、一連の映像を見ていた。
 第九期の記録である。主に、通信記録。

 信号がロストしてすぐに、彼女にコーレックから通信が送られていた。記録では、どういうわけか、栗色の髪の少年――12かそこらの、幼い子供――が、コックピットに座っていた。

 当の洸流が意識不明で、ゴルドセルンで島そのものが消滅したため、事の真偽を確かめる術はないが。

 しかし――何が起こったかは分からなくても、何をすべきかは分かっていた。
 いや、何が起こったか。それにさえ、僅かに心当たりがあった。

 彼でなければ、分からなかっただろう。少なくとも、この時代では。

 胸のロケットを開き、嘆息した。



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