ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「……洸流!」
勢いあまって、彼は彼女を抱き締めていた。
そのまま、検査用のベッドに縺れ込むと、唇を重ね、
「洸流……洸流」
ただ、それだけ呟く。
彼女に覆い被さって。
「……イレ・ルーヴュ・テオ」
暫くして、何の抵抗も見せず、彼女が呟いた。
その言葉に、ティードリオスの中で何かが切れる。
「……どうして……そうなんだ……」
彼女の腕を押さえる手に、力が入る。手が震える。
「こんなことをされて、悔しくないのか!? 怖くないのか!?」
叩きつけるように、叫んでいた。
「私の為!? それだけで、全てを投げ出せるのか!? 友まで撃って!!
お前はそれで満足か!! お前に、大切なものはないのか!!」
押さえつけられたままの彼女。反応はない。
「私は、お前の何なんだッ!?」
そこまで叫び終わると、彼は我に返った。
「……すまない」
彼女の身体をマントで覆い直すと、すぐに検査室の出入り口に向かい、
「私を……見てくれ。……頼む」
そう、ぽつりと呟いて、出た。
彼には――それが、精一杯だった。
◇◆◇◆◇
勢いあまって、彼は彼女を抱き締めていた。
そのまま、検査用のベッドに縺れ込むと、唇を重ね、
「洸流……洸流」
ただ、それだけ呟く。
彼女に覆い被さって。
「……イレ・ルーヴュ・テオ」
暫くして、何の抵抗も見せず、彼女が呟いた。
その言葉に、ティードリオスの中で何かが切れる。
「……どうして……そうなんだ……」
彼女の腕を押さえる手に、力が入る。手が震える。
「こんなことをされて、悔しくないのか!? 怖くないのか!?」
叩きつけるように、叫んでいた。
「私の為!? それだけで、全てを投げ出せるのか!? 友まで撃って!!
お前はそれで満足か!! お前に、大切なものはないのか!!」
押さえつけられたままの彼女。反応はない。
「私は、お前の何なんだッ!?」
そこまで叫び終わると、彼は我に返った。
「……すまない」
彼女の身体をマントで覆い直すと、すぐに検査室の出入り口に向かい、
「私を……見てくれ。……頼む」
そう、ぽつりと呟いて、出た。
彼には――それが、精一杯だった。
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