ティードリオス ~わが君にこの愛を~
リストにあったのは。
一つ。総合情報検索サイト。最も有名なものだ。
二つ。音楽ダウンロードサイト。これも大手。
三つ。研究機関レベルの神聖言語学習用サイト。どうやら、会話程度という彼女の言葉は謙遜だったらしい。
四つ。騎士団の支給品一覧・申し込みサイト。おそらく、王城に配置換えになってからは使っていないのだろう。
五つ。王城仕官の支給品一覧・申し込みサイト。
――以上。他はない。何もない。
何だか、音楽サイトが唯一の救いのような気がした。
「……もういい、すまなかった」
反応がいまいちの彼女に、眩暈を覚えながら、彼はインターネットを閉じた。
次いで、ミュージックプレイヤーを閉じる。収録曲が一曲だけなのも気になったが、この際突っ込む気になれなかった。
「ところで、一つ確認したいが……お前の身内は、本当にもう誰も?」
「……はい。遠い親戚なら、いるにはいますが……」
「父方の親類は?」
何気ない風を装った彼の問いに、洸流は、少し考えて、
「いえ、父方は特に……。遠い親戚も母方で……」
「そうか。ところで、この際だから言っておく」
意を決し、彼は、横たわる洸流の顔を覗き込んだ。
「私は、お前を愛している」
反応は、ない。
「だが、私は王族だ。生まれながらの責務がある。それを放棄するつもりはない。だから――
私の身も、そしてお前さえも、切り捨てなければならない。そう判断することも、ある。
……お前を……犠牲にすることも厭わない。
だが……私は、お前に惹かれている。……それだけだ」
言葉の後に落ちたのは、沈黙。彼女が眠るのを見届けてから、部屋を出た。
「……おやすみ」
眠った彼女に、そう言い残して。
何事もなかったかのように自室に戻ったが、翌日、彼の前夜の行動がメディアに洩れていた。リーク元は――姉だった。
ティードリオスは、無論、迷わず姉の部屋に怒鳴り込んだ。
のらりくらりと、愉しそうな姉に、殺意すら抱いたが……何が変わるでもなかった。
◇◆◇◆◇
一つ。総合情報検索サイト。最も有名なものだ。
二つ。音楽ダウンロードサイト。これも大手。
三つ。研究機関レベルの神聖言語学習用サイト。どうやら、会話程度という彼女の言葉は謙遜だったらしい。
四つ。騎士団の支給品一覧・申し込みサイト。おそらく、王城に配置換えになってからは使っていないのだろう。
五つ。王城仕官の支給品一覧・申し込みサイト。
――以上。他はない。何もない。
何だか、音楽サイトが唯一の救いのような気がした。
「……もういい、すまなかった」
反応がいまいちの彼女に、眩暈を覚えながら、彼はインターネットを閉じた。
次いで、ミュージックプレイヤーを閉じる。収録曲が一曲だけなのも気になったが、この際突っ込む気になれなかった。
「ところで、一つ確認したいが……お前の身内は、本当にもう誰も?」
「……はい。遠い親戚なら、いるにはいますが……」
「父方の親類は?」
何気ない風を装った彼の問いに、洸流は、少し考えて、
「いえ、父方は特に……。遠い親戚も母方で……」
「そうか。ところで、この際だから言っておく」
意を決し、彼は、横たわる洸流の顔を覗き込んだ。
「私は、お前を愛している」
反応は、ない。
「だが、私は王族だ。生まれながらの責務がある。それを放棄するつもりはない。だから――
私の身も、そしてお前さえも、切り捨てなければならない。そう判断することも、ある。
……お前を……犠牲にすることも厭わない。
だが……私は、お前に惹かれている。……それだけだ」
言葉の後に落ちたのは、沈黙。彼女が眠るのを見届けてから、部屋を出た。
「……おやすみ」
眠った彼女に、そう言い残して。
何事もなかったかのように自室に戻ったが、翌日、彼の前夜の行動がメディアに洩れていた。リーク元は――姉だった。
ティードリオスは、無論、迷わず姉の部屋に怒鳴り込んだ。
のらりくらりと、愉しそうな姉に、殺意すら抱いたが……何が変わるでもなかった。
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