ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「あ……あ……まさか……」
 洸流が、信じられないという風に、洩らす。

 映像記録。栗色の、長い髪の少年。

「……ゆう……きょう……?」

 次いで、ゴルドセルンが島を凪いだ。当然、コーレックも消滅する。そう、ラインハルトの記録にはあった。
「悠夾!?」
 愕然と、ただ叫ぶ。

「悠夾! ……そんな! 悠夾!!」

「落ち着け」
 ティードリオスが、取り乱す彼女の肩を抱く。

「……コーレックは……消滅を?」
「ああ」
 掠れた声で、すがるように言う彼女。

「私が……コーレックを……悠夾が! 悠夾が乗って!
 私は! 悠夾を! 悠夾を!!
 私が……私が……」

「落ち着け! 洸流! 悠夾とは誰だ? この少年か?」
 完全に錯乱してしまった彼女を、ティードリオスが何とか宥めようとする。

「悠夾……悠夾……」
 涙声になり、膝をつき、ただ項垂れる。ティードリオスは、そんな彼女を抱き締めるしかなかった。



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